ナビ・ピレイさん、ノーベル平和賞受賞おめでとうございます

ノルウェー・ノーベル委員会は、インド・タミル系の南アフリカ人で元国連人権高等弁務官のナビ・ピレイさん(85)が今年のノーベル平和賞を受賞すると発表しました。このことの意義と、これを機に私たちが考えるべきことを簡潔に記したいと思います。
川崎哲 2026.10.10
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(ノーベル財団の公式SNSより)

(ノーベル財団の公式SNSより)

ノーベル委員会の発表や各種報道をまとめると、ピレイさんは、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の南アフリカ・ダーバンに生まれ、法律家としてネルソン・マンデラほか反アパルトヘイトの活動家らを弁護しました。その後、ルワンダ国際刑事裁判所の判事と所長(1999~2003年)、国際刑事裁判所(ICC)の判事(2003~2008年)をつとめ、2008~2014年には国連人権高等弁務官をつとめました。さらに、パレスチナ占領地に関する国連調査委員会(正式名称:東エルサレムを含むパレスチナ被占領地およびイスラエルに関する国際独立調査委員会。国連人権理事会の決議に基づき設置)の委員長を2021年から25年までつとめました。また、現在は、国際司法裁判所(ICJ)においてミャンマーがイスラム系少数民族ロヒンギャに対するジェノサイド(集団殺害)で訴えられている事件の判事をつとめています。

ロシアによるウクライナへの侵略や米国によるイランへの軍事攻撃など、大国が平然と国際法を破って軍事行動をくり返すなか、「力による支配か、法による支配か」が今日の世界で大きく問われています。ICCに対して、ロシアは赤根所長らに逮捕状を出して身柄の引き渡しを要求しており、米国は赤根所長らに制裁を科しています。こうしたなかICCが今年のノーベル平和賞受賞者に選ばれるのではないかとの予想も出されていただけに、元ICC判事であるピレイさんの受賞は「国際法の重要性」を世界に強くアピールしました。この直後に米トランプ政権がICCそのものに制裁を科すことを発表し、これに対してICCはもちろん日本や欧州諸国が反対声明を出すなど、ICCをめぐる国際論争が激しくなっています。これはきわめて重要な論争なのですが、私は同時に、ピレイさんが闘ってきた「人権」という観点にも注目すべきだと思います。

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