核兵器禁止条約の第1回再検討会議が開かれます

核兵器禁止条約第3回締約国会議で発言する日本被団協の濱住治郎さん。写真:ICAN
11月30日~12月4日、ニューヨーク国連本部で核兵器禁止条約の第1回再検討会議が開かれます。核兵器禁止条約は、核兵器を作ることも持つことも使うこともいかなる状況下でも許さないという初の国際条約で、2017年7月に国連で122カ国の賛同により採択され、2021年1月に発効しました。そしてこれまで、2022年、2023年、2025年の3回にわたり締約国会議が開かれてきました。今年で発効から5年が経ったので、条約の定めにもとづき、初めての再検討会議が開かれます。国連事務総長が招集し、議長は南アフリカがつとめます。再検討会議は、条約の運用状況を検討し、条約の目標達成に向けた進展を議論する場であると定められています。条約の非締約国や市民社会もオブザーバーとして参加することができます。
再検討会議の議題はまだ発表されていませんが、だいたい次のようなものになるだろうと想定されます。
開会、ハイレベル演説
被爆者や核実験被害者の発言
テーマ別パネル討論(核兵器の非人道的影響など)
一般討論(各国代表が基本的な立場を述べる)
個別課題の検討(※)
最終文書の採択、閉会
個別課題の検討(※)のところは、2022年に定められた「ウィーン行動計画」の進展を評価することが中心になるだろうと思われます。ウィーン行動計画は、第1回締約国会議のときに採択された50項目の行動からなるもので、「条約の普遍化」「被害者援助と環境修復」「核廃棄の検証」「核兵器とジェンダー」などのテーマが挙げられています。それぞれのテーマについての主な進展と課題は次のようなものです。
条約の普遍化 現在までに条約に加わった国は100カ国で(締約国75、署名国25【注】)、世界の国の過半数です。さらに締約国を増やしていくための外交努力、そして、条約への理解を広めていく取り組みが求められます。
被害者援助・環境修復 核兵器の使用・実験の被害者に対する援助や、核実験などにより汚染された環境を修復する取り組みのために、国際信託基金を作ることが議論されており、その要綱案が出されています。基金以外にも、被害者のニーズを把握するための取り組みなどの必要性が論じられています。
核廃棄の検証 将来核保有国がこの条約に入ってきた場合に、それらの国の核廃棄をどのように国際的に検証するか、そのための機関や技術について、議論されています。
ジェンダー 核兵器は女性に偏った被害をもたらすという観点で議論が続けられており、現在は「ジェンダーや年齢に配慮した被害者援助のための指針」を策定する作業が続けられています。
科学的諮問グループ(SAG) 第1回締約国会議で設置が決まった科学的諮問グループ(SAG)が核兵器が使用された場合の人道上の影響や、条約上の諸課題について議論を重ねてきました。来る再検討会議でその役割が再定義され、メンバーも更新されます。
日本にできること
日本は現在、この条約に加わっていませんが、オブザーバー参加することができます。政府としてオブザーバー参加し、核兵器の非人道性について発信するとともに、被爆者や核実験被害者の援護について日本の経験を共有することで国際的な議論に貢献すべきです。SAGにメンバーを推薦したり、その会議を広島・長崎に誘致したりすることもできるでしょう。また、核廃棄の検証の議論に加わることは、日本の周辺国における核廃棄を確かなものにするというためにも有益です。
このような観点から、核兵器をなくす日本キャンペーンをはじめとする多くの市民団体や、広島・長崎市長らが日本政府に対して再検討会議へのオブザーバー参加を求めています。この会議に向けたNGO・市民の動きについては、また別途紹介したいと思います。
【注】締約国の数え方について 国家が条約の正式な締約国になる(=その条約に法的に拘束されることに同意する)方法として、批准、加入、受諾、承認の4種類があります。その際に、あるいはそれに先立ち「署名」をすることもできますが、それは義務ではありません。ほとんどの国は、まず署名してから批准します。具体的には、大臣や大使が国連本部で署名して、その後に議会がその条約を批准する議決をして、国連に批准書を提出します。しかし国によっては、署名をせずに条約に「加入」する場合もあります。核兵器禁止条約の場合、これまで95カ国が署名し、うち70カ国が批准し残り25カ国は未批准です。そのほかに5カ国が加入しました。よって現在、75カ国が「締約国」で、25カ国は締約国になる一歩手前の「署名国」、その合計が100カ国です。(2026.9.6現在)
参考図書 川崎哲『核兵器 禁止から廃絶へ』岩波ブックレット(2021)
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